Interview · 2025年度採択

橋本 由介 氏

橋本 由介 氏

先端的な光電子分光技術で材料開発を刷新!見えない構造を捉え、研究成果を製品として社会へ届ける挑戦のリアル

プロジェクト:3次元原子配列とイオン化状態を高精度に測定できる分析装置の開発

原子の立体配置とイオン化状態を同時に可視化する独自の「光電子分光装置」を開発した橋本助教。研究室の成果を世界の研究者へ届けるためプログラムへ参加。専門家との協業で装置の製品化と体制構築を進める変化のリアルを語ります。

光電子分光分析装置製品化

Q1. 事業内容と、プログラムに応募したきっかけを教えてください。

私はX線照射により放出される電子を分析し、元素の化学状態や原子の周囲の並びまで調べられる新しい電子分析装置の開発に取り組んでいます。半導体や蓄電池などの先端材料では原子レベルの理解が重要ですが、従来装置は測定効率に限界がありました。そこで広い立体角を一度に分析できる独自の電子エネルギー分析器を開発しました。研究室で終わらせず多くの研究者や企業が利用できる装置として社会に届けたいと考え、事業化の道筋を具体化するため応募しました。

分析装置を操作する橋本助教

Q2. プログラム参加前、研究シーズの事業化や社会実装を進めるうえで、どのような課題や不安を抱えていましたか?

装置の性能や新規性に自信はありましたが、「技術として優れていること」と「製品として売れること」は全く別だと感じていました。研究者は「原子配列まで可視化できる」特徴に注目しますが、顧客にとって重要なのは測定時間の短縮や材料開発工程の改善といった価値です。専門性の高い装置ゆえに最初の顧客設定や製造・販売体制の構築など課題が多く、「研究としての面白さ」をそのまま説明するのではなく「顧客が購入する理由」に翻訳することが大きな課題でした。

Q3. プログラムの支援で特に役立ったことと、それにより得られた成果や今後の展望を教えてください。

メンターとの議論を通じ「新しい電子エネルギー分析プラットフォーム」という本質的な事業価値が明確になりました。これにより対象市場が、放射光施設を利用する研究者、半導体材料、蓄電池、触媒などの研究開発、さらには既存のXPSや電子分光装置への応用へと広がりました。現在は製品化に向けた体制構築を進めつつ、将来的には分析装置の販売にとどまらず、大学内で試料を預かって測定・解析を行う受託分析サービスも展開し、観測情報を次の材料設計へフィードバックする新たな材料開発への変革を目指します。

Q4. これから応募を検討しているNAISTの研究者・学生の皆さんへメッセージをお願いします!

研究者は技術の新規性や性能から考えがちですが、研究室の外の人と話すと自分では重要だと思っていなかった特徴に大きな価値が見えてきます。I-SAPの価値は、単に起業手法を学ぶことではなく、自分の研究を全く違う視点から見直せる点にあります。最初から完成したビジネスプランは不要です。「研究成果を製品として世界の研究者に使ってもらいたい」と少しでも感じているなら、ぜひ積極的に活用してください!

あなたも研究の社会実装に挑戦しませんか?

2026年度 I-SAP。アイデア段階からの応募も歓迎です。

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